カンも実力のうち

Photographer: Roland

子供に勉強を教えることがあるわけですが、その時に「カンも実力のうち」という話をするときがあります。

たとえば5択の問題で、完全にランダムであれば1/5の確率なわけです。

しかし、そこで「確実にこれは違う」というものを一つでも二つでも消去しておければ、確率は1/4、1/3と跳ね上がるわけです。1/5と1/3では約1.7倍も違ってくるわけです。

これは、創造性の世界にも当てはまるのではないか、と考えています。偶然に何かをひらめくという力を「セレンディピティ」と言いますが、偶然は必ずしもみんなに等しい確率で現れるのではないのではないか、と考えています。そこで発想力が増えるような工夫を二つほど紹介したいと思います。

たとえば。発想するためには、どこかに「ランダム」が必要だと思っています。「ランダム」は「いままでにない刺激」と考えてもいいかもしれません。いつも同じ思考にとらわれていては、いい発想は浮かばないはずです。自分の中に「ランダム」を取り入れる工夫が必要ではないでしょうか。

昨年暮れから、今年の初めにかけて実はアイディア・ラボ〔β〕では「Something New」という一行メルマガを発行していました。あれは、まさに「日常生活にランダムを吹き込む」ことを目的としていました。たとえば、「コンビニで買おうと思ったものの隣にモノを買う」などというくだらない指令が、一日に1通来るメルマガでした。「ランダムをプログラムする」という発想での企画で、なかなか好評をいただきました。

自分の中にランダムを取り込むということ。いつもと違う道を通る。いつもだったら注文しないモノを食べてみる。買わないものを買ってみる。僕は時々、今までの人生で買ったことのない雑誌を買ってみることにしています。「月刊飲食店経営」「月刊養殖」など。これも、自分の中にランダムを取り入れることですが、次の要素も含みます。

もう一つは、いろんなことに興味を持って、いろんな情報を浴びておくことです。決して覚えるという意味でなく、うまく言えないのですが、僕は「記憶にひっかかりを作る」と考えています。僕の好きな作家である開高健は編集者たちへ、として、「森羅万象に多情多恨たれ」と表現しました。

決して覚えるのではなく、いろんなことに首を突っ込んでみる。触ってみる。味わってみる。匂いを嗅いでみる。読んでみる。見てみる。

発想の世界で大切なのは「類推」です。「何かと似ている」「こんな例がある」ということを知っているのは創造性を豊かにするためには、とても有効です。ヤングの有名なことば、「アイディアとは既存の要素の新しい組み合わせ」ということからもうかがえるように、既存の要素に対する知識(記憶の引っ掛かり)はとても役立ちます。

イメージしてみてください。自分の記憶のひっかかりのなかから、2枚のカードを取り出し、それを並べる。そのつながりを考えるだけで、今までに自分の中になかった、「組み合わせ」が生まれます。そこにアイディアの種があるはずです。

自分の中に「記憶の引っ掛かり」を作り、それを「ランダム」に取り出す。日常生活で意識してみてはいかがでしょうか。

 

2 thoughts on “カンも実力のうち

  1. 先日、こんな話を聞きました。
    「偶然を呼び込む道具を持つことが大事。自分が思っているものを超え、本来持っている力を引き出してくれる。

    道具というのは、絵とか文字とか、人(仲間・部下など)かもしれない。いずれにせよ、ひらめきに頼らず、偶然を呼び込むための仕組み作りが大切。そのためには、質より量/クリエイティビティーより体力・意地 だと。

    たまたま読み返してみたら、この話を思い出しました。

    • 確かに、クリエイティビティをどのようにとらえるか、という視点はあるにせよ、体力やメンタルのともなわない、やわなクリエイティビティではだめですよね。
      「偶然を呼び込む道具」いいお話ですね。ありがとうございます。
      いけやま

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