中島義道「対話のない社会」

「対話」のない社会―思いやりと優しさが圧殺するもの (PHP新書) 中島 義道


この本の中に「<対話>の基本原理」として今から引用する12か条があがっていました。非常に優れていると思ったので、ご紹介します。日本にもこれだけ深く対話について掘り下げた人がいたんだな、と思います。書籍は1997年ですから、15年ほど前のもの。

以下引用。

<対話>の基本原理
(1)あくまでも一対一の関係であること。
(2)人間関係が完全に対等であること。<対話>が言葉以外の事柄(例えば脅迫や身分の差など)によって縛られないこと。
(3)「右翼」だからとか「犯罪人」だからとか、相手に一定のレッテルを貼る態度をやめること。相手をただの個人として見ること。
(4)相手の語る言葉の背後ではなく、語る言葉そのものを問題にすること。
(5)自分の人生の実感や体験を消去してではなく、むしろそれらを引きずって語り、聞き、判断すること。
(6)いかなる相手の質問も疑問も禁じてはならないこと。
(7)いかなる相手の質問に大しても答えようと努力すること。
(8)相手との対立を見ないようにする、あるいは避けようとする態度を捨て、むしろ相手との対立を積極的に見つけてゆこうとすること。
(9)相手と見解が同じか違うかという二分法を避け、相手との繊細な「違い」を大切にし、それを「発展」させること。
(10)社会通念や常識に納まることを避け、常に新しい了解へと向かってゆくこと。
(11)自分や相手の意見が途中で変わる可能性に対して、常に開かれてあること。
(12)それぞれの<対話>は独立であり、以前の<対話>でコンナ(ママ)ことを言っていたから私とは同じ意見のはずだ、あるいは違う意見のはずだというような先入観を棄てること。
以上、引用。(本書P132〜133)
多少、大きく見ると重複するような内容もあるような気がしますが、非常に優れた列挙だと思います。中でも、(11)については、日本人は意外と苦手な気がします。
「話が違うじゃないか」「一貫性がない」という批判をよく聞きます。
これは、立場を対立して、AかBか、と問う議論の場合には適切な批判かも知れません。Aという意見の人がCという意見に変わってしまっては、もはや議論が成り立ちません。
しかし、対話の場では、「意見が少しずつ変わる」「歩み寄る」ということを「是」とします。また、変わることを「是」とする、むしろ奨励する対話のデザインが必要だと池山は思っています。
(9)の「違いを発展させる」という言葉もすばらしいですね。(8)で対立を避けるのではなく、「違い」をあえて発見する。そして、これは私見ですが、その対立をもたらす各自の「想定」を発見し、理解する。そして、その「違い」を発展し、お互いが少しずつ変わる。
非常に、大きな示唆のある12か条だったので、少し長かったのですが、引用させていただきました。

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