ダイアローグ・イン・ザ・ダーク

写真は大阪会場公式サイト(http://www.dialoginthedark.com/free/?no=1054)よりお借りしております。

さて、今月、ついに「ダイアローグ・イン・ザ・ダーク」に行ってきました。場所は最近話題の、グランフロント大阪の中にある、ナレッジキャピタル内、積水ハウス「住宅フムラボ」のなか(~の中ばっかりですが(笑))に特設会場ということで設置されています。最初におことわりしますが、こちらは一種のアトラクションなので、内容についての言及は極力避けたいと思います。特にかかわりがあるわけではありませんが、個人的には非常におすすめできるものですので、ご興味がわいた方は、ぜひ体験されることをおすすめしておきます。ただ、第1期は6/24までで、8月にまた開催されるそうです。チケットはもともとの枠が少ないこともあり、わりと埋まっているようなので、お早目がいいかもしれません。

ダイアローグ・イン・ザ・ダークをご存じない方のために、公式HPからの抜粋を。

=======================

暗闇の中の対話。
鳥のさえずり、遠くのせせらぎ、土の匂い、森の体温。水の質感。
足元の葉と葉のこすれる枯れた音、その葉を踏みつぶす感触。
仲間の声、乾杯のグラスの音。
暗闇のあたたかさ。

ダイアログ・イン・ザ・ダークは、
暗闇のソーシャルエンターテインメントです。

参加者は完全に光を遮断した空間の中へ、グループを組んで入り、
暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)のサポートのもと、中を探検し、様々なシーンを体験します。
その過程で視覚以外の様々な感覚の可能性と心地よさに気づき、
そしてコミュニケーションの大切さ、人のあたたかさを思い出します。

世界 30か国・約130都市で開催され、2011年現在で700万人以上が体験したこのイベントは、
1988年にドイツで、哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案によって生まれました。
日本では1999年11月に初めて開催され、現在は東京・外苑前の会場にて常時開催中。これまで約10万人が体験しています。

======================

興味を持ったきっかけはこの一冊でした。茂木健一郎さんが、DIDのアテンドの方たちと対談されている一冊です。文庫で読みやすいですし、おすすめしておきます。写真をアマゾンから借りていますので、リンクはこちらです。
この中で、一番印象に残ったのが、目の見えない阪神ファンの方が、阪神が勝つと次の日新聞を買いに行くんだよ、という一節です。「なぜか」と問われたときに、「阪神が買った翌日の新聞を、こうやって手につかんで、クシャッと持つ感覚がいい」とおっしゃいました。記憶を頼りに書いていますので、おそらく大意はあっていると思うのですが、違っていたらお許しください。そう池山は受け取りました。

この、多様さ。活字を読まない新聞の「使い方」があるということの発見でした。それから、「見えない世界」に興味をもち、一度は行ってみたいと思っていましたが、東京の会場はなかなかタイミングが合わずに、行けずにいたのでした。そこに、大阪会場ができたので、ぜひ!ということで、お邪魔してみたわけです。

さて、個人的な感想を。まず、入る前は「完全な暗闇って、しばらく入っていれば目が慣れるんじゃないの」と思っていました。それが、大きく裏切られます。完全な暗闇、というのはこういうことか、というくらいの暗闇です。自分の目の前5センチ(と思われる場所)に手のひらをかざしても、まったく見えません。それが、アトラクションが終わるまで続きます。まさに、完全な暗闇です。

いったん、緩衝室のようなところに入り、少しずつ暗闇に慣らしていくので、恐怖感はさほどでもありません。実は池山は、普段「暗順応」が弱く、というか悪く、運転していてトンネルに入ったりすると、一瞬まったく目が見えなくなったりします。あと、光の降り注ぐ庭から、部屋に入ると、しばらく行動ができなくなったりします。そういうこともあり、暗闇には苦手意識がありました。

入った瞬間に全くの暗闇ですが、すぐさま行動を求められます。そのときに一番不安なのは、他の人がどこにいるのか?ということでした。自分だけがとりのこされているのではないだろうか、という不安でした。

ものにぶつかったり、転んだり、という不安は実はあまり強くありませんでした。極端な話、動かなければ、それはないわけです(現実の視覚障害者の方は、相手から近づいてくる、っていうことも多いでしょうが)。

暗闇の中で、いろんなことを体験していきますが、そのうち暗闇に体がなじんでいくのが、面白いようにわかります。暗闇の、すこしねっとりとした密度といいますか、包まれている安心感のようなものも生まれてきます。

興味深いのは、見ず知らずの方とグループを組んではいるのですが、とても仲良くなることです。暗闇の中では、黙っていると誰がどこにいるのかまったくわかりませんから、いちいち声で行動や場所を確認しないといけません。そのうちに仲良くなってしまうようです。われわれも、見ず知らずの方と一緒でしたが、そこで仲良くなり、終わってからしばし歓談し、別れてきました。そのあと、意気投合し、一緒に飲みに行こう!っていうパターンもあるそうです(笑)

 

大変悪筆でお恥ずかしいのですが、これは終わって出た後の池山がアンケートに書いた感想です。担当の方におことわりして、写真を撮って帰ってきました。フォーマットなどには当然主催側の権利がおありですので、池山の書いた文字の部分のみを切り取っています。

ここにも少し書いていますが、出てきた瞬間、入る前より世界が色あせて感じました。誤解を恐れずに書くと、「見えることってつまらないな」と瞬間的に感じました。視覚に障害をお持ちでご苦労なさっている方には、本当に申し訳ないですが、正直な感想でした。実は、今回DIDに行くに当たり、自分の中の感覚、入った瞬間と出た瞬間の感覚に個人的に注目していたので、わかったのですが、本当に一瞬の「チカッ」という思考の瞬きのようなものでした。

普段、見る、ということに頼ることで、いかに多くのものをなくしているのか、ということを感じたように思います。DID内部では、空気の動きや、足元の材質、壁の材質などが、音や手触り、ほほの感覚などでわかります。普段、いかにそういうことを見落としているか、ということを強く感じました。

最後になりますが、DIDは実際の視覚に障害をお持ちの方にアテンドしていただきます。そのことによりたとえば、「障害を理解しよう」とか「ノーマライゼイション」であるとかを声高に叫ぶのではなく、暗闇に人を放り込んで、「さあ、やってごらん」という手放しの状態を作る、主催者側の高い見識に敬意を表します。これは、ワークショップの学びと同じだと思います。

最後に薄明かりに出てきて、アテンドの視覚に障害をお持ちの方とお話しするんですが、その時にメンバーが椅子をたたいて、「ここですよ」とアテンド役が逆転、それがとても自然にできたことを書き添えておきます。

得るものの多い70分でした。個人的には強くお勧めできると思います。よろしければ。

http://www.dialoginthedark.com/

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>