「みんなが手話で話した島」読了感

ずっと前から欲しかった本を最近買って、読了しました。ノーラ・E・グロース著、佐野正信訳「みんなが手話で話した島」

リンクはアマゾンのページで、池山が買った時は¥5000くらいしたのに、安いのが出ていてちょっとショックです(笑)。

1991年の発行の本ですが、 よくあるパターンで版を重ねなかったようで、プレミアがついています。こっちの本(「会議が変わる6つの帽子」エドワード・デ・ボーノ)は県立図書館で見つけたんですが、この本は見つからなかった。

ということで、今回は奮発して購入しました。そして、内容はというと、奮発した甲斐がありました。

少しだけ内容を説 明しておくと、アメリカのボストンの南に位置する孤島、マーサズ・ヴィンヤード島。ここは、閉鎖された社会関係の中で、近親の結婚が多く、遺伝的に聴覚障 害者が一定の期間、通常よりも非常に多く生まれていた。そして、この島では誰もが普通に手話を使って会話できた。

この島では、聴覚障害のある人も不自由なく生活し、結婚し、子供を産み、そして成功して金持ちになり、また失敗して資産を失った。

つまり、この島では聴覚障害者もまったく健聴者と同じように生活できた。ここに学ぶべきことはないのか、という一冊。

この本の中にある1文が非常に印象的です。島の住民から聞き取りをした時の言葉、

「彼女にはハンディキャップなんてありませんでしたよ。ただ耳が聞こえないだけでした」

というもの。この島を一言で表していると言えます。

なぜ、こうなったのかにはいろいろな理由があるのでしょうが、この本の中でも論考されている理由のひとつには、この島は遺伝的に聴覚障害者が多かったこと。そしてそれはメンデルの遺伝の法則のうち劣性因子であったため、必ずしも聴覚障害者から聴覚障害者が生まれるとはかぎらなかった(劣性因子がそろわないと発現しないので)ため、みんなが「自分の家にも起こりうること」としてとらえ、家族や一族の中に聴覚障害者がいることを「自分ごと」としてとらえていた、ということです。

この本、もし読みたい方がいらしたら、お貸ししますので、池山に声をかけてください。ただ、一点。この本では現地の人たちがどれくらい聴覚障害者を身近に感じていたか、ということを表すため、現在では「差別語」である言葉が多く出てきます。

それは、あくまでも現地の方達の言葉に忠実に翻訳されている、という点においてご理解の上で読まれることをおすすめします。

なお、訳者あとがきで初めて知ったのですが、この本を翻訳されている佐野正信さんはご自身が聴覚障害をお持ちです。

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